2017年度理事長 鈴木 恵介

はじめに

第2次オイルショックで幕を開けた1980年、日本中が景気回復に向けて歩みを進めたその年に、私はこの世に生を受けました。休日返上で毎日遅くまで懸命に働く父の背中と、厳しくとも優しい母の愛に育まれ、何不自由のない少年時代を過ごしてきました。高校を卒業して責任の伴う社会人となり、他人に負けまいと必死で仕事をする中で、社会の常識や人間関係のなんたるかを学びました。そして、社会人としての生き方に自信を持ち始めた頃、関青年会議所に入会し、その活動の中で多くの方々に出会い、成長する機会を与えていただきました。
これまで目先のことばかり追いかけてきた私の考え方や価値観を変えてくれたのは青年会議所の活動であり、仲間たちです。そして『自分の力を自分以外の人に使う』という人間力や利他の精神と、まちの明るい未来は自らが率先して行動し創り出していくものだと教えてくれたのも青年会議所です。こうした変化を与えてくれたすべての出会いに感謝し、未熟ながらもJAYCEEとして、経営者として、そして2児の父親として新しい自分の価値を見出すために、懸命に今を生きています。

創立60周年を迎え
1957年7月19日、地域社会の発展を願い、初代 河村成勝理事長を始めとする気概に満ちた青年46名が集い、全国121番目の青年会議所として関青年会議所は誕生しました。戦後の混沌とした時代の中で、私たちの先輩方は日本という国家、そして住み暮らす地域の未来を真剣に考え会員同士が切磋琢磨し、まちづくり、ひとづくりを通して様々な功績を残し、現在に至っています。
本年度、創立60周年という大きな節目を迎えるにあたり、これまで支えていただいた地域の皆さまに感謝し、我がまち関市の発展のために奉仕を重ね先輩方が築き上げてこられた関青年会議所の歴史、そして設立書に込められた創始の精神を普遍的なものとして次代に確実に継承します。また、先輩方が59年間繋いでこられた地域を想う心を、ご支援くださる地域の皆さまへ敬意と感謝を込めて、志高く未来へ繋いでいきます。
さらに私たちは、JCIという世界124の国と地域に会員数約16万名を擁する、世界で最も大きな青年団体の一員であることを自覚し、企業のリーダー、地域のリーダーとして学ぶことが多き青年世代をこの青年会議所という組織に身を置き、活動できることを誇りに思うとともに、59年という永きに亘り関青年会議所を連綿と受け継いでこられた先輩方に敬意と感謝を表し、一般社団法人関青年会議所の60年目の歩みを進めて参ります。

魅力あるまちの創造
「地方創生」が声高に叫ばれる近年、言葉に違いはありますが思想そのものは青年会議所運動において非常に重要であり、魅力あるまちづくりはすべての地方自治体が抱える最重要課題であります。少子高齢化社会の中で「人口減少」と「東京集中」、両問題を地方再生というテーマで、中央の押しつけではなく地域が自発的に動くことが求められています。この関市においても世帯数こそ増加しているものの人口は平成19年の約95,000人をピークに今では約90,000人と減少傾向にあり、定住人口の増加を目的とした取り組みが展開されています。そんな中、私たちが暮らす地域社会の活性・発展に向けて、関青年会議所としてどれだけ有効な運動ができているでしょうか。世界に誇る伝統産業や観光資源、更には豊かな自然が共存する地域の中で、私たちがどれだけ地域のために行なっている事業だと自負しても、結果として地域を巻き込んだ事業や市民に参画・賛同していただける事業でなくてはなりません。
私たちは今一度この地域のために本当に何が必要なのか、将来この地域はどうなっていくべきなのかを考え、地域を巻き込んだ事業をしていくことが重要です。自然環境や伝統文化のみならず、現在のこの地域の魅力を発信することで明るい豊かなまちを創造していきましょう。

子どもたちの健全な成長
子どもたちにとって幼少期より、武道やスポーツなどを通じ、礼儀・礼節と協調性を育むことや、努力することの大切さを学ぶことは勿論、真剣勝負の中で勝つことの喜びと、たとえ負けたとしてもその悔しさを体験することが非常に重要であると考えます。悔しい思いをすれば、次に必ず勝てるという保証はありませんが、悔しい思いは人生の大きな糧となります。人生において連戦連勝などありえません。敗北や挫折を必ず経験します。大切なことは敗北や挫折を経験したときに立ち上がることなのです。大人になったとき挫折に負けない強い心を備えさせるためにも、幼少期から悔しい思いを経験し、そこから目標を持って前に進む強い精神を体得することが必要です。子どもたちの健全な成長を願い、子どもたちに素晴らしい経験ができる場を提供していきましょう。

子どもたちが理想を追求できる社会づくり
「子どもには夢を持って人生を歩んで欲しい」、「子どもには自信を持って生きて欲しい
このように考える親が多くなってきたように感じます。私もそう考える親の一人です。また賢い子になるために、学力を上げるために、優しい子に育てるためにと、様々な教育法や子育て法を子どものためだと考え、実践している家庭も少なくありません。しかし、よく考えてみるとそれらは大人の目線からの考えばかりではないでしょうか。この大人の目線からの考えには、「自分たちが手本になる」という視点が抜け落ちてしまっています。これでは大人たちが色々と考え、色々とやっても子どもたちの視点から見たら、それが自分のためだとは思うはずがありませんし、言っていることとやっていることが違う大人を見て大人に憧れる子どもはいません。
またある統計によると、「大人になりたくない」と考える中高生が57%もいるそうで、「子どもでいるほうが楽だから」、「大人になるのが不安だから」という理由が大半です。このことは、私たち大人を映し出す鏡だと真摯に受け止めなければなりません。子どもたちは、私たち大人が社会で生きる姿勢から大人のなんたるかを学びます。また、大人の背中を見て、憧れや偉大さを感じなければ、子どもたちは大人になることに対し、不安しか抱きません。時代が変われば問題点も変わってきますが、いつの時代も大人が輝く背中を見せ、子どもたちと心を通わせ合うことが大切であると考えます。そして、親の押しつけではなく子どもたち自身が「やりがい」や「夢」そして「希望」を見出せる社会を創っていくことこそが私たちの使命です。

青年経済人として
高度情報化社会が急速に進展し、世界中の人やモノ、お金や企業がつながっている現代、今後ますます「グローバル化」が進むと言われています。労働人口不足が予測されている日本では、外国人労働者を積極的に雇い入れる企業が増え、近い将来この地域でも「多文化共生」の考え方が非常に重要になってくるのではないでしょうか。「多文化共生」が進めば、労働力だけではないメリットがあると考えますが、生活習慣の違いや言葉の問題のように文化の違いによる様々な問題があることも同時に考えておかなくてはなりません。また、私たち日本人は海外の人に比べ自己主張が少ないと言われますが、世界で認められている日本のものづくりやサービスをこれまで以上に世界に浸透させるためにも、それらの諸問題を解決していく必要があります。そのためには、「自分の考えを持つ、ブレないリーダー」が必要です。
自分の中に一定の基準と指針を兼ね備えた確固たるリーダーがいなければ、時の流行に流され、組織を正しい方向に導くことが出来ないと考えます。私たち青年経済人は、自らの想いや周囲の期待、市場の動向などを注意深く肚に落とし込み、自ら会社を方向づける目標を設定しなくてはなりません。そのためにも物事の本質を見極め、組織をまとめる力と正しい判断が出来るリーダーになることが求められています。さらには、これからのグローバル社会を生き抜くために必要な経営者としてのスキルに磨きをかけ「自己の資質」を向上させることが必要です。

人間力が試される会員拡大
私たちの運動を関市に広く伝播させていくためにも、同じ志で共に行動する多く青年の力が必要です。そのために今、同世代の青年に何を伝えるべきでしょうか。
青年会議所の活動を伝えるのであれば『明るい豊かな社会』を目指した活動をしていることに他なりません。しかし候補者は、「なぜ青年会議所に入会したのか」、「なぜ青年会議所活動をしているのか」その動機から始まるメンバー各々の成長の過程が知りたいのです。
私は、自ら成長したいという前向きな想いを持って、自らの意思で関青年会議所に入会しました。各々がその時の思いや希望を思い返し、己を語ることで拡大は始まります。そして、私たちの運動を誇りに思い、メンバーが各々の魅力を存分に発揮したとき、初めて会員拡大に繋がるのです。会員拡大こそ、私たちの人間力が試されます。一人でも多くの青年に出会い、己を飾ることなく想いを語ることから始めましょう。

むすびに ~親愛なるメンバーへ~
いくつもの可能性と多くの選択肢を有する青年会議所活動の中で、JAYCEEであれば誰でも仕事と家族、そして青年会議所活動、どれを優先するか悩み、苦しむときもあるでしょう。しかし、苦しいときがあるからこそ、成長できるのです。自己の成長を信じて青年会議所活動に取り組んでください。それぞれを分けることなく、実はすべて自分の果たすべき責任であるとするならば、あなたの立ち位置はおのずと定まるのではないでしょうか。
このまちの明日を明るく照らすために、私たちは「今」学ぶべきことをしっかりと学び、仲間と共に成長していきましょう。そして自ら行動し、創り出すという「行動力」を持ち合わせてください。支えてくださっている地域の皆様へ常に感謝の心を持ち、「このまちをより良くしたい」という共通の想いのもと行動する、その一人ひとりの行動力が周囲に影響を与え、「明るい豊かな社会の実現」を目指した運動へと昇華するのです。

明日のために今やるべきことがあります。
明日のために今しかできないことがあります。
明日のために今、自分が「ここ」にいる意味があります。
だからこそ、今を懸命に生きて欲しい。

40歳までと定められたこの「一瞬」に、青年会議所と出会えたことを「偶然」と思わず、「必然」であると信じ、まっすぐな気持ちで今を生きましょう。

 

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